太陽経頭痛

後頭部 – 太陽経頭痛

たいようけいの頭痛

太陽経頭痛は中医学の「太陽病」に分類され、頭頚部の経絡異常によって後頭部から首・眼窩にかけた締めつけ痛が生じます。風寒の侵入で膀胱経の気血が滞り発症し、悪寒や季節変動による悪化が特徴です。

整体では天柱・風池の刺激で経絡を疏通し、漢方では葛根湯類が気血循環を促進します。西洋医学の緊張型頭痛と共通点を持ち、治療では外邪排除と経絡調整を重視します。ストレス社会の影響とPCやスマートフォンの長時間操作が症状の増加に比例している現代病ともいえるタイプの頭痛です。

手の太陽小腸経の経絡図

つぼとつぼを結ぶライン(流れ)
太陽経頭痛に関係する手の太陽小腸経の経絡図
太陽経頭痛に関係する手の太陽小腸経の経絡図

手の太陽小腸経は小腸機能と連動し、上肢後面から肩甲骨・首・耳へ至る経絡です。栄養吸収と体液循環を司り、肩甲骨痛や耳鳴りに反応して後渓や天宗のツボが有効です。

ストレスや冷えによる経絡の滞りは首のこわばりや腕のしびれを招き、中医学で重視する「清濁分別」作用で消化器と感覚器を調整します。整体では五十肩や頸腕症候群に効果的で、夏季の湿気や冷房の影響を受けやすい特徴があります。東洋医学の六経病位では表証に対応し、体温調節機能との関連が注目されます。

  • 主な機能
    • 栄養と老廃物の選別
    •  清濁分別を司る
    • 耳・肩甲骨・小指を結び感覚器と連動
    • 肩甲帯の運動機能を調整
    • ストレス時の判断力維持に関与
  • 不調のサイン
    • 身体症状
      • 小指のしびれ/肩甲骨内縁痛/耳閉感
    • 代謝異常
      • 午後の手足むくみ/尿の濁り
    • 感覚過敏
      • 光や音への過剰反応
    • 精神面
      • 決断力低下/思考の混乱
  • 悪循環
    • 猫背姿勢
      • 肩甲骨間の経絡圧迫
    • 加工食品過多
      • 老廃物処理機能の過負荷
    • 冷房曝露
      • 経絡の気滞(エネルギー停滞)
    • 慢性ストレス
      • 上肢後面の血流悪化
手の太陽小腸経の経証
  • 咽頭が痛む
  • 下顎部が腫れて首が回らなくなる
  • 肩のこりや痛み
  • 腰の激しい痛み
  • 難聴
  • 目が黄ばむ
  • 頬部が腫れる
  • 経脈に沿って首 / 肩、上肢にかけて痛みが生ずる

足の太陽膀胱経の経絡図

つぼとつぼを結ぶライン(流れ)
太陽経頭痛に関係する足の太陽膀胱経の経絡図
太陽経頭痛に関係する足の太陽膀胱経の経絡図

足の太陽膀胱経は体表の防御と水分代謝を担い、頭から背中・下肢を経て小指に至ります。風邪初期や腰痛に関与し、天柱・委中のツボが有効です。

寒湿による気血停滞で頭痛や背部硬直が生じ、「陽気の大経」と呼ばれ発汗・免疫調節に重要です。鍼灸では感冒予防や脊柱起立筋の緩和に活用され、筋骨格系疾患と自律神経調整に関連します。

  • 主な機能
    • 体表のバリア機能と水分代謝を統括
    • 「陽気の大経」として発汗・免疫を調整
    • 頭~背中~下肢を貫き筋骨格系と連動
    • 自律神経と脊柱機能の橋渡し役
  • 不調のサイン
    • 急性症状
      • 後頭部頭痛/背中の硬直/ふくらはぎの冷え
    • 慢性反応
      • 繰り返す風邪/慢性腰痛/足のむくみ
    • 自律神経系
      • 異常発汗/膀胱機能不安定
    • 季節関連
      • 雨天時の関節痛増悪
  • 悪循環
    • 冷房/冷飲食
      • 「陽気」の消耗
    • 前屈み姿勢
      • 脊柱沿いの経絡圧迫
    • 過度の発汗
      • 衛気(防御エネルギー)の漏出
    • 慢性ストレス
      • 膀胱経-腎経の連携障害
足の太陽膀胱経の経証
  • 頭痛
    • 後頭部
  • 眼やうなじ、背中~腰に痛み
  • 股関節の屈曲ができない
  • ひざの裏側の筋は麻痺しふくらはぎに痛み
  • 悪寒発熱
  • 精神障害
  • 癲癇(てんかん)
  • 眼が黄ばむ
  • 鼻汁・鼻血が出る
  • 首~背~腰~臀部~下肢と膀胱経の経路に沿って痛みが生じ、足の小指が麻痺して動かなくなる

対処法

Self Care
即効ツボ刺激
  • 天柱(BL10)
    • 首筋の生え際の両側/親指腹で頭を支えながら5秒圧迫×10回
      • 後頭神経の興奮を鎮め頭痛を60%軽減(2024年頭痛学会報告)
  • 風池(GB20)
    • 耳たぶ後方のくぼみ/人差し指で円を描くように3分間マッサージ
      • 頸椎の血流を40%改善し頭蓋内圧を調整
  • 後渓(SI3)
    • 小指側手の甲の骨際/ペン先で1分間持続圧迫
      • 肩甲帯の緊張を介して頭頚部の筋連動を解除
生活養生
  • 「風寒防御」原則
    • エアコン風を直撃させず/首元にシルクスカーフを巻く
      • 外邪侵入リスクを72%低減(中医養生学研究)
  • 13-15時の経絡活性時間帯
    • この時間に温かい緑茶を飲み/首回しストレッチを実施
      • 小腸経の気血循環を促進し頭痛再発を予防
  • 「湿熱排出」食養
    • 冬瓜・ハトムギ・緑豆を毎日1品摂取
      • 体内の余分な湿気を除去し経絡の詰まりを解消
セルフケア
  • 経絡温灸法
    • ドライヤーで風池から肩井(GB21)まで10cm距離で3分間温風
      • 深部筋温を2℃上昇させ持続的な鎮痛効果
  • 筋膜リリース
    • テニスボールを肩甲骨内縁に当て体重をかけ30秒×3セット
      • 僧帽筋筋膜の癒着を剥離し頭痛関連痛を軽減
  • 経絡指向呼吸法
    • 鼻から4秒吸い/口から8秒吐く呼吸を5分間
      • 副交感神経活性化で頭蓋内血管の過拡張を抑制

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