片頭痛

片頭痛

発生する仕組み
西洋医学

片頭痛は国際頭痛分類第3版(ICHD-3)において「原発性頭痛」に分類され、国内において成人女性の18.6%、男性の6.5%が罹患する神経血管性疾患です。

神経生理学研究により、その病態は「三叉神経血管系の異常活性化」と「中枢性感作」を基盤とする多段階プロセスとして解明が進んでいます。

  • 三叉神経血管説(CGRP放出)
  • 皮質拡延性抑制(CSD)現象
  • セロトニン代謝異常
東洋医学

診断体系において少陽経頭痛に分類される疾患です。『黄帝内経』霊枢経脈篇において記載される手少陽三焦経と足少陽胆経の走行領域に一致する側頭部を主座とする頭痛様式を指します。

古典文献『傷寒論』では「少陽病」の症候として「頭痛発熱、脈弦細」との記述がみられ、現代の片頭痛症状と通底する特徴を有しています。

  • 肝陽上亢による少陽経の気滞
  • 胆火上炎による側頭動脈拡張
  • 気逆による三叉神経刺激

拍動性疼痛(83%症例で確認)は、側頭動脈の血管壁が最大1.5倍拡張し、三叉神経終末の機械受容器が活性化されることで生じます。前兆期には脳血流が15-30%増加し、頭痛期には逆に20-35%減少するという特徴的な血流変動が確認されています。

神経伝達物質と神経

serotonin & trigeminal nerve
セロトニン
  • ストレス反応
    • 過度のストレス → 血小板からセロトニンが
      300%過剰放出(通常値:0.95μg/mL)
  • 血管収縮期
    • セロトニン受容体活性化
      脳血管が最大25%収縮(持続2-3時間)
  • 枯渇現象
    • セロトニン半減期(約26時間)を経て
      血中濃度が基準値の60%まで急降下
  • 反跳性拡張
    • 血管が反動で1.8倍拡張 →
      三叉神経を機械的に刺激
  • 遺伝的素因
    • CACNA1A遺伝子変異保有者 →
      発症リスク3.2倍上昇(全症例の18%)
三叉神経
  • 血管拡張
    • 脳の太い血管が1.5倍に拡張 → 三叉神経が圧迫刺激を受ける
  • 炎症発生
    • 三叉神経から「CGRP」などの神経ペプチド放出 → 血管周囲に炎症
  • 悪循環開始
    • 炎症でさらに血管拡張 → 三叉神経への刺激が増幅
  • 痛み伝達
    • 刺激が大脳に到達 → 「ズキンズキン」という拍動性頭痛に
  • 随伴症状
    • 刺激が他の中枢にも波及
      • 光過敏(視覚)・音過敏(聴覚)・臭覚過敏
      • 嘔吐中枢刺激 → 吐き気・嘔吐

前兆の有無

omen
前兆のあるタイプの片頭痛

片頭痛は前兆のないタイプと前兆のあるタイプの2タイプに分けられ、前兆のある片頭痛は全体の20~30%といわれています。

代表的な前兆としては以下のリストがあげられ、前兆の多くは15~30分程続き、頭痛が始まります。

  • 閃輝暗点(せんきあんてん)
    • 目の前にチカチカと光るフラッシュのようなものがあらわれ、視野の片側、または中心部が見えにくくなる
  • 手足のしびれ、感覚が鈍くなる感覚異常
  • 言葉が話しにくくなる失語性言語障害
  • 生あくび
  • 眠気
  • 空腹感等
  • 首肩こり
閃輝暗点(せんきあんてん)
イメージ動画

*44秒程の短い動画です。閃輝暗点に心当たりのある方はお気軽にご覧下さい。

国際頭痛分類第2版

ICHD-II

1~4を満たす頭痛発作が5回以上ある

  1. 頭痛の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
  2. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
    • 片側性
    • 拍動性
    • 中等度~重度の頭痛
    • 日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
  3. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
    • 悪心または嘔吐(あるいはその両方)
    • 光過敏および音過敏
  4. その他の疾患によらない

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