薬物乱用頭痛とは
本来、ストレッチ・体操・整体・などで改善するはずの片頭痛や緊張型頭痛を、仕事や家事に支障をきたさないよう予防的に頭痛薬を服用する習慣により、かえって頭痛の頻度が増してしまう状態を「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」といいます。
薬物乱用頭痛は、市販の頭痛薬・鎮痛剤・などの過剰な服用によるものが多いですが、お医者さまから処方された薬によっても起因します。
国際頭痛分類では二次性頭痛に分類されていますが、実際は一次性頭痛、特に片頭痛と合併して現れることが多い頭痛の種類というのが特徴ともされています。
薬物乱用頭痛が疑わしい症状・習慣
- 月に15日以上の頭痛がある。
- 頭痛薬を月に10日以上服用している。
- 起床時から頭痛がする。
- 以前はよく効いていた頭痛薬の効果が無くなってきた。
- 薬をいくら服用しても頭痛が以前より酷くなってきた。
- 頭痛の度合、痛みの種類、痛む部位が変化することがある。
- 以前は月に数回程度の片頭痛が起こっていた。
悪循環・薬物乱用頭痛
酷い頭痛を経験すると、どうしても頭痛発作への不安や恐怖から頭痛薬を予防的に服用するようになってしまいます。
同時に服用する回数・量も自然と増えていきます。
すると次第に、脳が痛みに敏感になり、頭痛の回数が増え、薬も効きにくくなってくるという悪循環に陥ってしまいます。
薬物乱用頭痛の治療方法
原因となっている薬の服用中止が必須となります。
しかし、単に薬を止めれば良いというものではなく、薬物中止後に起こる頭痛(反跳頭痛・離脱頭痛)に対する治療の必要もあります。
この頭痛(反跳頭痛・離脱頭痛)は頭痛も然り、吐き気、嘔吐なども起こる場合があります。
予防薬や薬物乱用頭痛の原因薬物以外の治療薬での対処が必要となりますので、医療機関への受診をお薦め致します。
薬物離脱から1~2週間は辛いですが、薬物が身体から抜けてくると毎日のように起こっていた頭痛が減り、元々持っていた頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)症状に戻ります。
ここで初めて整体・マッサージ・ストレッチ・体操など元々持っていた頭痛への対応になります。
薬物乱用頭痛にならないためには?
薬物乱用頭痛)は一度なってしまうと比較的再発しやすい頭痛の種類です。日頃から頭痛薬に頼らないことが重要です。
薬物乱用頭痛を再発させない為には次の項目を心がけましょう!
- 頭痛薬の使用は服用回数を厳守。
- 市販の鎮痛薬を予防的に飲むのは止める。
- 主成分が単一の鎮痛薬を選ぶ。
*主成分が複数配合されているものやカフェイン(無水カフェインもしくはカフェイン水和物)が含まれているものには注意しましょう。 - 他に薬を飲んでいる場合は医師に相談。
国際頭痛分類/診断基準
薬物乱用頭痛診断基準
- 頭痛は1ヵ月に15日以上存在し、3および4を満たす
- 「急性の物質使用または曝露による頭痛(このページ下部に記載)」に示す以外の薬物を3ヵ月を超えて定期的に乱用している
- 頭痛は薬物乱用のある間に出現もしくは著明に悪化する
- 乱用薬物の使用中止後、2ヵ月以内に頭痛が消失、または以前のパターンに戻る
サブタイプの診断基準
- 診断基準に適合した上で3ヵ月以上の期間、定期的に1ヵ月に〇〇日以上摂取している。
日数については下記のように規定されている。 - エルゴタミン乱用頭痛: 10日以上
- トリプタン乱用頭痛: 10日以上 (剤形は問わない)
- 鎮痛薬乱用頭痛: 15日以上(単一の鎮痛薬)
- 複合薬物乱用頭痛: 10日以上
市販の頭痛薬の大部分は複数の成分が配合されているので複合薬物に分類される。 - 急性期治療薬の組み合わせによる薬物乱用頭痛: 15日以上
急性の物質使用
または曝露による頭痛の一覧- 一酸化窒素(NO)供給体誘発頭痛
- 即時型一酸化窒素供与体誘発頭痛
- 遅延型一酸化窒素供与体誘発頭痛
- ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬誘発頭痛
- 一酸化炭素誘発頭痛
- アルコール誘発頭痛
- 即時型アルコール誘発頭痛
- 遅延型アルコール誘発頭痛
- 食品の成分および添加物誘発頭痛
- グルタミン酸ナトリウム誘発頭痛
- コカイン誘発頭痛
- カンナビス誘発頭痛
- ヒスタミン誘発頭痛
- 即時型ヒスタミン誘発頭痛
- 遅延型ヒスタミン誘発頭痛
- カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)誘発頭痛
- 即時型CGRP誘発頭痛
- 遅延型CGRP誘発頭痛
- その他の適応症に使用される薬物による急性有害事象としての頭痛
- その他の急性の物質使用誘発または曝露による頭痛